5.2.2実機用大深度海中動力源システムの概略検討
a.システムの基本機能構成
本事業にて大深度長期高効率海中動力源システムとして試作・開発、及び実用化を目指す海中動力源システムは、燃焼器内にて高圧燃焼した排ガスを冷却することにより排ガスを液化し、加圧しやすい状態に変えた上でポンプで海中に排出することにより、排ガスの海中排出に対する所要動力を大深度に於いても小さく抑えることが可能な高圧燃焼・排ガス液化排出型海中動力源システムであり、本海中動力源システムの基本機能構成は、図5.2.2-1に示したものとなる。
b.システムの基本構成
前項の図5.1.1-1に示す海中動力源システムの基本機能を満足すべく、全体システムの構成を検討すると、概ね表5.2.2-1に示すシステム構成及び各要求機能を満足する構成機器が必要となる。
これらの構成機器を考慮した海中動力源システムの概念を図5.2.2-1に示す。
C.システム構成の比較検討
海中動力源システムの全体構成を検討するに当っては、全体システムの基本系統について数ケースの候補に対して比較検討を行った上、本試作システムのベースともなる海中動力源システムの全体構成を設定する。
通常の熱機関では大気中の酸素により燃料を燃焼させるのに対し、海中動力源用機関としてのスターリングエンジンでは、大気中の酸素供給ができないため、液体酸素等の酸化剤により直接純酸素による燃焼を行う。一方、燃料の燃焼には酸素が不可欠であるが、純酸素のみによる燃焼では化学的に活性が高いため燃焼温度過昇による不具合が生じ得る。
このため海中動力源に於いては、このような純酸素燃焼による燃焼温度過昇を抑制するため、純酸素に不活性ガスである排ガスの一部を混入させて薄め、通常の大気に近い酸素濃度で使用するためのCGR(Combustion Cas Recirculation:燃焼ガス再循環)システムが必要となる。
表5.2.2-1のシステム構成に示すように、CGRシステムを構成する主要機器は、CGRファン、CGR予熱器があり、これらの機器は、その配置等により、システム全体の効率等に大きく影響を与える。
このため、システム全体の構成を検討するに当たって、主にこのCGRシステム構成機器の配置、系統を変え、以下の3つのケースについて、比較検討を実施した。
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